SpecialtyCoffee

スペシャルティコーヒー

スペシャルティコーヒーとは?
市場上位5%のすばらしいコーヒー

スペシャルティコーヒーとは、色々定義はありますが、
「際立つ美味しさとしっかりとした個性のあるすばらしいコーヒー」
ということがまずあげられます。

スペシャルティコーヒー協会で定められた
客観的なカップ評価基準80点以上のものとされており、
コーヒーの市場で上位5%の生産量と言われています。

そもそも、なぜこのスペシャルティコーヒーという概念ができたのか。
それは1900年代のコーヒー成長期の歴史が関係しています。

原産地の作業風景

「低価格」と「質」を求めるアメリカ
「悪くない」コーヒーを作るブラジル

1800年代後半にブラジルが植民地から独立し、この時期にブラジルでコーヒーの生産が加速していきました。
一時期は世界の80%以上のシェアがあったそうです。

そして、この大量生産の買い手は独立して勢いのあるアメリカでした。
アメリカは大量に買ってくれる大きな顧客であり、市場の成長を促すとともに価格も求めるようになりました。

ブラジルでは良いものを作ってもアメリカから高値では買ってもらえず、品質よりも効率化を優先するようになっていきました。
ブラジルのコーヒーは「悪くないコーヒー」を目指して生産されるようになり、
また消費国のアメリカでも原価を下げるために薄くした「アメリカンコーヒー」を流行らせ、味の低下を招くようになっていったのです。

ひいては消費国のアメリカでコーヒー離れが起き、大量に生産されたコーヒー豆が余るようにもなっていきました。

そんな中、世界恐慌の渦にのまれて、コーヒー豆でも価格の暴落が起きていきます。

今でもそうですが、コーヒー豆の価格はニューヨークとロンドンの市場によって決められます。
味や品質に関わらず、生産地とは関係のないところで金額が決まっていきます。

価格暴落が続く度に、食べていけない農家が辞めていき、大量に生産できて品質よりも価格重視の大きな農家しか生き残れなくなっていったのです。

その結果、生産国と消費国との間で取引金額の乖離が大きくなり過ぎ、コーヒー産業は危機に陥っていきました。

コーヒー農園

低品質化を食い止め市場を適正価格に
「美味しい」コーヒーを目指す環境へ

コーヒー栽培に適した環境

1900年代後半、この低品質化が進むコーヒー産業に歯止めをかけるため、
”スペシャルティコーヒー”という概念が作られました。

「悪くない」コーヒーから「美味しい」コーヒーへ。
良いものは正しく評価されて適正な価格で買ってもらう仕組み作りを行いました。

それは、協会やカップオブエクセレンスを設立し、
冒頭のように客観的な品質評価ができる仕組み作りに至ります。

これらの取り組みにより、徐々に高品質のコーヒーが取引されるようになり、
「美味しい」を目指す小農家が増えていき、
今では大手企業やチェーン店がこぞって買い付けに来る名農園もできるなど、
市場がどんどん変化してきているのです。

産業の「サスティナビリティ」に加え
地球環境への「サスティナビリティ」も

スペシャルティコーヒー協会は、消費国に生産国のことを、コーヒーをもっとよく理解してもらえるように
「From Seed to Cup」をスローガンに掲げ、トレーザビリティも強化していきました。

トレーザビリティとは、農園主、農園、品種、標高、精製方法など、どのように品質管理の工程を踏んでいるのかが分かるよう、情報公開を行うことです。

これにより、それまでブラックボックスだったコーヒーの生産工程を明らかにし、ちゃんとしたコーヒー作りをしている農家を評価できる仕組みにしているのです。

そしてスペシャルティコーヒー協会は、「持続可能性」という概念も取り入れており、「地球環境に対するサスティナビリティ」にも働きかけを行っています。

コーヒーは、栽培に日光だけでなく日陰も必要とする樹種であり、シェードツリーと呼ばれる日陰を作る樹と一緒に栽培しているところもあります。
これにより森林のような環境を形成し、生物の多様性に一役買っているのです。

今のスペシャルティコーヒーはこのような背景の中で作られているのですが、それはコーヒー市場の上位5%にしか過ぎません。

もっと消費国の人たちにこのスペシャルティコーヒーが生まれた背景や美味しさを正しく理解してもらい、
生産国でスペシャルティコーヒーを作ろうと思う農家が増えていけばいいな、と思っています。

そのために私たちができることは、生産国が作った「美味しい」コーヒーを、正しく「美味しい」コーヒーとして仕上げ、
その値段にあった価値あるコーヒーとして売ることだと考えています。

確かに普通のコーヒーよりは少し高いかもしれませんが、スペシャルティコーヒーを売っていくことで少しでも世界の役に立てれば、と思います。

丁寧な栽培